住友林業は、木造住宅メーカーの中でも高い耐震性を誇る事で知られています。
その中でも、特に耐震性の高さで注目されているのが、マルチバランス構法とビッグフレーム構法という2つの構法です。
この記事では、それぞれの構法の特徴や使われている部材などから、2つの構法の耐震性を比較しています。
住友林業の3つの構法
【住友林業公式HPより引用http://sfc.jp/】
木造住宅メーカーとして有名な住友林業では、異なる3つの構法を選ぶ事ができます。
・マルチバランス構法
・ビッグフレーム構法
・ツーバイフォー構法
いずれも、従来の木造建築の技術をさらに改良したものです。
マルチバランス構法は、日本で昔から行われてきた伝統的な木造軸組構法を改良したものです。
ビッグフレーム構法は、重量鉄骨造で用いられる「ラーメン構造」を、木造住宅で初めて実現した画期的な技術です。
ツーバイフォー構法は、元々アメリカの木造住宅に使われていた技術で、住友林業では日本の高温多湿な風土に合わせて断熱技術を向上させています。
6面の壁で家を支えるツーバイフォー構法に比べて、柱で支えるマルチバランス構法とビッグフレーム構法は、比較的間取りの自由度が高くなります。そのため、この2つの構法のどちらを選ぶかで悩まれる方も少なくありません。そのような時、構法選びの基準は、やはり耐震性が高いかどうかという点に絞られてくるようです。
マルチバランス構法の耐震性
【住友林業公式HPより引用http://sfc.jp/】
地震のパワーから家を守るのは主に壁面です。木造軸組構法の場合、その負荷はさらに柱と梁の接合部に集中します。これまで木造軸組構法は、壁面の少なさと、柱と梁の接合部の弱さが耐震性の面で指摘されてきました。
木造軸組構法をベースにしているマルチバランス構法は、この2つの課題に以下のような改良を施しています。
・建物を外から支える「きづれパネル」
一般的な木造軸組構法では、柱と梁に強度を与えるために筋交いを設けますが、住友林業のマルチバランス構法では、家の周囲に「きづれパネル」と呼ばれる格子状の面材を貼る事で補強しています。
格子状のきづれパネルは、地震の負荷がかかっても変形しにくいという特徴があります。
素材が軽く通気性も高いため、木造住宅が持つ快適さを保ったまま地震に強い家を作る事ができます。
・「地震エネルギー吸収パネル」
「地震エネルギー吸収パネル」は住友林業独自の制震システムです。
高剛性のゴムで固定された頑丈なパネルは、地震のエネルギーを熱に変えて吸収し、建物の倒壊を防ぎます。
・「スーパー檜」
含水率15%以下まで乾燥させるなど、徹底した品質管理で作られた、変形に強い構造用集成材です。
ビッグフレーム構法の耐震性
【住友林業公式HPより引用http://sfc.jp/】
ビッグフレーム構法は重量鉄骨造のしくみを木造住宅に応用したものです。そのため、材料に用いる木材の耐久性を鉄と同等にするために、頑丈なビッグコラムと呼ばれる柱と、その柱を梁と強固に繋ぐ専用の金具を用いています。
・ビッグコラム
一般的な105mm角の柱の約5倍の幅を持つ、横に太い柱です。経年劣化による木材の変形やねじれを防ぐため、十分に乾燥させた集成材を何層も重ねて作られています。
・ビッグコラム専用金具
従来の柱よりも太いビッグコラムの効果を発揮するために、ビッグフレーム構法では、柱と梁に、専用の金具をメタルタッチ接合しています。
メタルタッチ接合とは、高層の重量鉄骨造で柱を支える際に用いる接合方法です。
柱と梁にはフィンボルトという金具が埋め込まれており、ジョイントボックスを使ってそれぞれの部材の金具同士を強力に接合させます。
地震が起こると、その負荷は部材同士の接合部分に集中しますが、ビッグフレーム構法では金具の接合力で負荷を軽減させる効果を持っています。
地震に強い構法はどっち?
□震災の被害から見る耐震性
東日本大震災において、マルチバランス構法で建てた家が全く被害を受けなかったという事例があります。震災後のメンテナンスでも、構造部分に被害はほとんど見られず、地震エネルギー吸収パネルときづれパネルが威力を発揮したと考えられています。
マルチバランス構法とビッグフレーム構法は、地震に強い木造の家づくりができるとして、木造住宅を希望する多くの方に採用されています。
ですが、地震による被害は、立地や土地の地盤、間取り等によって、同じ構法でも大きく異なるため、必ずしもその構法を選べば地震で倒壊しないという訳ではありません。
まとめ
間取りを自由に設定できる「木造軸組構法」と「ラーメン構造」のメリットを最大限に活かし、耐震性に改良を施した住友林業の家づくりは、木造住宅を希望する方には非常に魅力的な商品です。
「その構法を選べば地震が起きても大丈夫」と早合点せず、構造に使われる部材や、施工のようす等を実際に目で確認し、納得したうえで構法を選びましょう。
●こちらもご参考下さい。
→住友林業の坪単価や価格・特徴は?【木造の開拓者?】
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